満月の夜には

リビングに入ると、カナタがオレンジジュースをくれた


「ありがとう」


お礼を言うと、カナタはにっこり笑う

………カナタって優しいし、気が利くし、きっとモテると思う



「……………見んな」


そんなことを考えてたら、耳元で甘い声が聞こえた

同時に身体の重心は崩れて、後ろに引き寄せられる


「………ジュン?」


顔は見えないけど、ふわっと私を包んだ香水の匂いでわかる

辛口なのに、どこか甘みを含んだ大人の匂い