満月の夜には

隣りを見ると、無表情のジュン


「初カノだってさ」


いいの?と尋ねると、


「……間違ってねえだろ」


間違ってるよ!

むしろ何も正しくないよ!!



一人、心の中で突っ込んでいるとガラガラと音を立てて扉が開いた




「久しぶりだな。元気にしてたか?」



渋い、でも色気を含んだ声

顔を上げると、ダンディーな男の人



「ミワコがジュンの女だと騒いでいたが……君がその子かな?」


真っ直ぐな視線が向けられる

この男の人から感じる圧力というかオーラというか……そんなものに圧倒されて、


「…………はい」


小さく返事をするのが精一杯だった

そんな私にふっと、優しく笑みを浮かべると


「ジュン。ここに連れて来ることがどういう意味か分かってるな?」


厳しい顔つきに変わって言った

ジュンはそんな言葉にも全く動じず、


「……はい。分かっています」


と真っ直ぐに見つめ返した