満月の夜には

少しだけ怖くなって、ジュンのスーツの裾を掴む

それに気づいたのか、ジュンの肩に回った手に力がこもる


(大丈夫だ)


そう言ってる気がした




「お帰りなさい、ジュン」


通された和室には、着物に見を包んだ綺麗な女の人


「………ああ」


ジュンはそれだけ言うと、女の人は


「久しぶりに家に帰ってきたのに、相変わらずお母さんには冷たいのね」


ママ困っちゃう、なんてふざけている姿も可愛らしい


ん?

ママ??


「あら?随分、綺麗な女の子連れて来ちゃって!彼女??」

「……ああ」


この人、何言ってもああ、しか言わないんじゃないの…?

ジュンのそんな態度は当たり前なのか、お母さんらしき人は特に気にしてる様子はなく、


「きゃあ!ジュンの初カノねっ!初めまして~ジュンのママです!ママって呼んでね♡」


きゃっきゃと盛り上がるジュンのお母さん

……本当にお母さんだったんだ


てか、ジュンの初カノじゃないです

ジュンが女の子連れて歩いてるの、何度か街で見かけてるし……

……毎回、違う子だったけど