満月の夜には

「……何回来ても慣れねえわこの家」


辺りをきょろきょろと見回して、少し顔をしかめるスーツに見を包んだハジメ


「慣れるわけないよ…」


同じくスーツのイクは小さく呟く


ハジメとイクは何度か来たことがあるみたい

私もハジメと同じように、ついきょろきょろと見回してしまう



「………転ぶぞ」


ジュンはそう言うと、私の肩を自分の方に寄せ、そのまま歩き続ける


「………っ…」


その一連の動作を無表情でなんてこと無くするジュンは、きっと、いや絶対女慣れしてるに違いない