息を切らしながら私が向かったのは、保健室ではなく、屋上だった。

(今日は、雨じゃないし開いてるよね…?)

いつものように、恐る恐る屋上のドアノブを引くと、そこには初夏の青空が広がっていた。

屋上に出るドアを開ける時は、なぜかいつも少しためらってしまう。

何だか、不思議の国への入り口みたいで、異世界に通じているような気がして。