ただ、好きなだけだった。



「ふんふんふ〜ん」

姉ちゃんの部屋で
湘南乃風を聞いて
上機嫌な私。


「紗由〜、紗由は幸せ?」


「ふんふんふ〜ん...は?」


「ん?」


「はー?」

「ん?だーかーらー!紗由は幸せ?」


「..ハッ。んなわけねーだろ。ウチはお前と違って幸せなんて知らねえんだよ」


「私はね、家族でいる時が幸せ。父さんと母さんと私と紗由で一緒にいるときが1番幸せ!」

そう言って姉ちゃんは
にっこり笑った。


...ウチは家族でいる時が1番苦痛だよ。


「だからっ!だからっ…。紗由が家出ていくなんて絶対にやだよ!!」