それから男の姿を見た者はいない。
部屋の中の物が全てなくなったことをみると、逃げ出せたのかもしれない。
不可思議なのは、大家が業者に頼んだわけでもないのに、男が壁につけたタバコのヤニや、床につけた焦げ跡などもろもろ消えていたことだ。
大家は首を傾げてため息を吐いた。
またか。
そして問題の1階の部屋に入ると、再び深いため息を吐いた。
大家の目に映り込んだのは、何度綺麗にしても、毎年のように黒く汚れる壁。
4年前から人が住んだことがないはずなのに。
大家はため息を吐くと壁紙を張り替えるため業者に連絡を入れた。
電話に出た業者も相手を知るなりため息を吐いた。
「またあの黒い汚れ、増えたんですか?人型みたいな―」
―終
部屋の中の物が全てなくなったことをみると、逃げ出せたのかもしれない。
不可思議なのは、大家が業者に頼んだわけでもないのに、男が壁につけたタバコのヤニや、床につけた焦げ跡などもろもろ消えていたことだ。
大家は首を傾げてため息を吐いた。
またか。
そして問題の1階の部屋に入ると、再び深いため息を吐いた。
大家の目に映り込んだのは、何度綺麗にしても、毎年のように黒く汚れる壁。
4年前から人が住んだことがないはずなのに。
大家はため息を吐くと壁紙を張り替えるため業者に連絡を入れた。
電話に出た業者も相手を知るなりため息を吐いた。
「またあの黒い汚れ、増えたんですか?人型みたいな―」
―終


