その身は凍る

 そのときだった。



 インターホンが鳴り響いた。



 男は動きをピタっと止め、震えながら玄関の方に顔を向けた。



 ピンポーン。



 再度インターホンが鳴るが動けない。



 するとドアから妙な音が聞こえてきた。



 カシャ。カチャ。



 最後の音はたしかに郵便受けが開く音で、男は思わず目を閉じた。



 カチャ。



 どのくらい経ったかはわからなかったが、男はゆっくりと目を開けていった。


 開いていなかった。



 男がそちらに目を向けたままため息を吐いた途端、勢いよく郵便受けが開いた。



 目が2つ、たしかに男の目を捉えていた。



 そしてドア越しに声が聞こえてきた。



 うるさいからあなたも消えて、と。