その少女は、朝倉のコトバに、キョトンと首を傾げると、朝倉の机からパッと離れた。

「アサクラサンッテ、イミワカンナクテ、キモチワルイコ、ダッタワ。」

その放課後、その少女が、そう触れ回っているのを見かけた。

それから、クラスメイトが、あからさまに、朝倉を敬遠するようになったのは言うまでもない。

ただ俺は、

朝倉ん家のドロッドロ事情云々を、ヒョンなところから知ってしまっている俺は、

朝倉を、〝キミワリィ女〟と簡単に片せなかった。

あの色の失せた眸が、あのコトバに、それ以上の何かをのせていた。

「キレーなものを描きたいの。」

———ヒトなんか信じられないもの。

———愛してるわとか、側に居るわとか、許されない嘘を吐いたヒトを、私は、知っているもの。