らぁめん店、関ヶ原。

埃っぽい店内に、ムワムワッと立ちのぼる、湯気を、小さい扇風機が掻き回していた。

くすんだ白壁には、色褪せ、パリッパリになったチラシが、黄ばんだセロハンテープでとめてある。

〝おいコラ、あんた、特大鍋らぁめんにチャレンジしていかねぇかぃ?完食してみせなぁ?特大鍋らぁめん2500円!完食無料!〟

店主のねじり鉢巻の親父さん曰く、特大鍋らぁめんの木札を掛けて十二年、制限時間20分の特大鍋らぁめんに打ち勝ったものはないらしい。

しかし、今晩、その十二年の伝説は、いとも容易く、破られようとしていた。