恋なんていたしません！

結婚式の帰り道、わたしは一ノ瀬と一緒に歩いて自宅に向かっていた。

「いい結婚式でしたね」

そう話しかけてきた一ノ瀬に、
「そうですね、よかったです。

田ノ下さんもとても幸せそうで安心しました」

わたしは言い返した。

「わたし、あの子が結婚したことを聞いて驚いたんです。

そのうえ旦那さんが伊勢谷さんとケンカしたことを聞いたので」

「ああ、僕もどんな旦那さんをもらったんだって思いました」

「でも幸せそうでよかったです。

旦那さんも田ノ下さんのことをとても大切にしているみたいで安心しました」

わたしはそう言うと、空を見あげた。

雲１つない青空が広がっていた。

「野々村さんは結婚とか考えているんですか？」

一ノ瀬が聞いてきたので、わたしは彼に視線を向けた。