恋なんていたしません!

「えっと、田ノ下さんが僕のテキーラを間違えて飲んでしまいまして…」

伊勢谷さんが申し訳ないと言った様子で答えた。

「マジかよ…」

一ノ瀬が呆れたと言うように言った。

テキーラって、かなり度数が強いお酒だよね?

そんなものを飲んでしまった田ノ下さんは大丈夫だろうか?

急性アルコール中毒を起こしていなければいいんだけど…。

「田ノ下さん、大丈夫?」

一ノ瀬がテーブルのうえに突っ伏している田ノ下さんの肩をたたいた。

うーんとうなりながら彼女は顔をあげると、首を縦に振ってうなずいた。

よかった、大丈夫なようだ。

そのまま彼女はスースーと寝息を立てながら眠ってしまった。