「ネットオークションやおもちゃ屋に行って、とにかくフィギュアを買い集めました。

その関係で特撮とかにもハマって…今まで生きてきた人生がウソみたいに、僕の毎日は輝いていました」

そこまで話し終えた一ノ瀬は息を吐くと、
「でも、いつまでもこんなことをしてるって言う訳にはいかないんですよね。

もう30歳ですし、そろそろ現実を見て考えてやめないといけないって思ってるんです。

最近、両親から結婚を急かされているうえにいつになったら孫の顔を見せてくれるんだって言われてますし…」
と、呟くように言った。

それで、現実を見ろとか依存するなとか言って説教をしてきた訳なのか。

そう思いながら、わたしはコップの中のお茶を一気に飲んだ。

「ごちそうさまでした」

床のうえにコップを置くと、わたしは言った。