恋なんていたしません!

「何だってんだよ、ホントによう」

更衣室にはわたし1人だけしかいないのをいいことに、ずっと我慢していた毒を吐いた。

朝から帽子をかぶっていたせいで乱れてしまったショートカットの黒髪を手で簡単に整えると、制服を脱いだ。

食品を扱っている衛生上の都合としてショートカットにしているが、実際は衛生よりもめんどくさいからと言う理由である。

「だから3次元の男は大嫌いなんだよ!

あー、ムカつく!」

カバンと着替えが入った袋を手に持つと、八つ当たりをするようにロッカーのドアをガチャンと閉めた。

明日が休みの時は必ず制服を持ち帰って洗濯をするようにしている。

「さて、と」

わたしは更衣室を後にした。