恋なんていたしません!

てっきりサーフィンとか読書とか楽器とか…いかにも“ザ・イケメン”って言う感じの趣味をイメージしていただけに、そんなことを聞かずにいられなかった。

「大学生くらいからかな」

一ノ瀬がわたしの質問に答えた。

「何かそう言ったサークルに入ってたんですか?」

そんな経緯みたいなものがない限り、こんなことしないよね。

そう思いながら彼からの答えを待っていたら、
「いや、そう言う訳でもないんですよ」

一ノ瀬が言った。

「…はい?」

わたしは訳がわからなかった。

じゃあ、どう言う訳でこんな趣味を持っているんですか?

全くと言っていいほどに話がよく見えないんですけど。

そう思っていたら、一ノ瀬は遠い過去を思い出すかのように深く息を吐いた。