恋なんていたしません！

「りんごを１つ」

「あっ、はい…」

一ノ瀬に言われて袋からりんごを取り出した。

りんごを受け取った一ノ瀬はなれたように包丁を使ってりんごを切った。

おおっ、すごい…。

流れるようなその作業に思わず見とれてしまった。

すごいな、普段から料理をしているのか…。

「はい、どうぞ」

一ノ瀬が皿に乗せたそれをわたしに差し出した。

「イチョウ切りにして塩水につけたりんごをカマンベールチーズと交互に挟む簡単な料理です。

結構美味しいので、お酒のおつまみに持ってこいですよ」

「あ、ありがとうございます…」

わたしは一ノ瀬の手から皿を受け取った。