恋なんていたしません！

「お教えしたらすぐに帰りますので」

「あっ…」

一ノ瀬がわたしの横を通り抜けたかと思ったら、靴を脱いでいた。

しまった、入れられた！

「待ってください、せめて掃除をさせて…」

靴を脱いだ一ノ瀬を引き止めようとするわたしだが、彼はズカズカと中へと入って行った。

と言うか、この時間に女の家に入るなんて一体どう言う神経をしてるんだよ！？

「何だ、結構片づいてるじゃないですか」

一ノ瀬は特に気にしていないと言うように返した後、キッチンへと入って行った。

コンビニで買ってきたお菓子にジュース、マサヤくんのブロマイドが入っている写真立て…極めつけはベッドのうえに置いてあるマサヤくんがプリントされた抱き枕である。

これのどこが片づいてるって言うんだよ…。