こいつが現れたその日の夜、わたしは悪夢にうなされた。

高校時代のあの出来事を夢に見たせいで、翌日は休みだと言うのに何もできない状態だった。

掃除洗濯食事はおろか、大好きな乙女ゲームもできなかった。

テメーのせいでほったらかしにしてた洗濯物ができなかったじゃねーか!

乙女ゲームが進まなかったじゃねーか!

女子社員たちに囲まれて食事をしながら楽しそうに談笑をしている一ノ瀬に、わたしは心の中で中指を立てた。

その端正なお顔に鼻フックをぜひともお見舞いしたい気分だぜ!

それを写真に撮ってSNSにアップしてやりたい気分だぜ!

…なんて、TwitterやInstagramを始めとするSNSは一切やってないんですけどね。