「とりあえず、今すぐ戻ってこい。」

電話口でも分かる
明らかな不機嫌な声。

「あ、いや、大丈夫です。本当に鍵とかも勝手に何かするつもりもありませんし、なんなら、送りますので、そちらも荷物送って頂けると助かるのですが。」

「いいから、戻って来い。」


戻るもなにも、
私の家はそこじゃない。




「いや、あのだから……」

「はぁー……」

電話口でため息までつかれるって……


「分かった。なら、鍵は送れ。

でも、お前の荷物は、明日元の会社に届けてやる。同じビルだしな。受付に言って、お前が椅子にお茶かけた、溝口という上司呼び出して渡しておく。」



!!!

「や、ちょっと!!!それは!!!」

「なんだ?文句あんのか?」



あの家には
もう居たくない……

あの空間は、
危険だ……

田舎者、
恋愛初心者に近い私には、

刺激が強すぎる

そう、

私をきっと、
ダメにする……