「なんかもう、怒りというより純粋に引きます。」 「引くなよ!」 「いや引きますよ。登頂なんてかっこいいこと言ってますけど、ただモミモミして、それをよだれダラダラのニヤケ顔で楽しんでただけじゃないですか。」 「バッキャロー! 山があったら登るだろ!」 「じゃあ、ここにも二つ山がありますよ!? え? 登りますか? どうなんですか!」 私は半ばやけくそといった感じで、胸を突き出した。誠司さんは、それを一瞥した。 「……崖だろ、それ。」 私は箸をへし折った。