それからすぐにパソコンを起動させて、執筆に移った。
書き出し。これには一番神経を使う。キャラクター設定よりも重要視しているかもしれない。
人が本を買う理由は、大きく分けて3つだと思う。
1つ、煽りのあらすじを読んでおもしろそうだと思ったから。
2つ、メディアに取り上げられているから。
そして、3つ、1ページ目から引き込まれたから。
最近の本屋は立ち読みに対して寛容だと思う。もちろん、長時間の立ち読みをされるのは、売り上げに関わるからいろいろ工夫している店もある。
カバーをかけたり、空調を夏は寒く、冬は暑く設定したりetc...。
長時間の立ち読みが制限される場合、買い手は本を手に取り、1ページ目を読む人が多い。そこで、「ああ、難しそうだな。」と思えば、そのまま本棚に戻される。
でも、引き込まれれば、次へ次へとページをめくる。すると、大抵買っていく。本屋に入る人の目的の9割は本を買いに来るためだから当然だ。
私の敬愛する小説家の作品に出合い、私が小説家を目指すきっかけもそうだった。
「さびしさは鳴る。」
この一文ほど綺麗で、深くて、尊いものはない。



