その後も誠司さんに質問をしていくと、面白いようにいろんなことがわかった。
高校ではサッカー部で14番をつけてストライカーだったこと、ヘビが苦手、ZARDのファン、ゴルフにはまっていて、ギャンブルはしない。煙草を吸っていた時期があったけど、お父さんが肺がんになってやめた。高校の時にバレーボール部のキャプテンにバラを100本贈って告白したけど、断られたことなど。
なかなかカッコイイところや、可愛いところもあって、仕事の時とまるで違っていた。
私も私で、誠司さんからのブーメラン質問に、いろんなことを答えた。
高校では吹奏楽部で、腕が長いと理由だけでトロンボーンをやらされたこと、ゴキブリを触ってしまったことがあって、以来、ゴキブリを見ると失神してしまうこと、落語にはまっていて、6代目三遊亭圓楽のファンであること、中学の時に友人関係に悩んで、円形脱毛症になったことまで話した。
それを誠司さんは感心したように、たまに同情したり、笑ったりしながら聞いてくれた。打ち合わせの時は、私の要望や想いは軽く一蹴するか、叱責するかだったのに、まるで違う人と話しているような感じがして、新鮮だった。
楽しい時間だった。もしかしたら、この人となら一緒に暮らせるかもしれない。それも、お互いの苦手なところを補い合えるんじゃないか。私たちってお似合いなんじゃないかとさえ思えるほど、私の誠司さんに対するイメージが大きく変わった。
自由帳も埋まっていく。それも十分すぎるくらい埋まっていて、今からでもパソコンを起動させて、書き始めたいほどに、この作品に対する意欲が石油のように勢いよく、湯水のように沸き上がった。
23:00のニュースが始まって、誠司さんは欠伸をしながら「風呂借りていいか?」と訊いた。
ドキッとした。



