「りんちゃん……いえ、大木りんの作品は、次の連載会議では出さない。」
妥当な判断だと思った。今の私にはサスペンスなんて書けないし、書きたくもない。情熱のない作家が居座っていても迷惑なだけだ。
「……わかりました。そう伝えます……。」
それで私のところへこんな時間に来たのだろう。誠司さんにとってはつらい役回りなのかもしれない。何だか申し訳ないことをしてしまった気がするが、しょうがない。書けないものは書けない。
「その代わりに、りんちゃんには短編を書いてもらう。」
「短編……ですか?」
「そう。それも恋愛モノの短編をね。」
「れ、恋愛モノ……正気ですか!?」
正気ですか!? ってどういうことだよ、柏原!



