「誠司さん。昨日、私と……その……何かありませんでした?」
誠司さんは結ばれているネクタイを首に掛けながら振り返った。
「何かってなんだよ?」
「ほら、男女が同じベッドで寝てたってことは、その……どうしてもそういうことを考えてしまうものじゃないですか……。」
女の子(とは言ってももう24歳だが……あー、それにしても自分で言ってて悲しくなる……。)にここまで言わせるかね。
なんてデリカシーのない男なのだろうか。デリカシーもないし、清潔感もない。生活感のない部屋に住んでいて、それらが入り混じって、嫌悪感がこんにちはする。



