これは命を懸けるつもりで掃除をしたほうが良さそうだ。
「誠司さん、この部屋私が掃除しますよ?」
「はあ? なぜだ?」
なぜ? 確かにその通りだ。
どうして私は誠司さんの部屋を掃除しようと思ったのか。それは誠司さんの二日酔いを介抱するにはまず掃除から。そう思ったからだ。
でも、誠司さんは着替えている。出勤の準備を着々と終えている。そんな人を介抱する必要などあるのだろうか。掃除する必要などあるのだろうか。
「そうですよね。私、何言ってんだろ……。」
まるで、田舎から出てきたお母さんか、付き合いたての彼女になったつもりでいた自分が恥ずかしくなった。誠司さんとはそんな関係ではない。犬猿の仲と言ってもいい。
犬と猿が同じベッドで寝ていただけでも十分快挙なのだ。
……はっ! そうだった!



