うっせえよ!






猛獣が目を覚ました。あくびを1回、瞬きを2回、右、左、右の順番で寝返りを打ち、頭を掻きむしりながら上体を起こして、一言。



「おはよう……。」



うっせえよ! 「おはよう……。」じゃねえよ!



「誠司さん! なんですかこれは! どうして私は今、誠司さんの部屋にいるんですか! なんで誠司さんと同じベッドで寝てるんですか! どうして誠司さんは上半身裸なんですか! なんでこの部屋は汚くて臭いゴミ屋敷なんですか!」



スターリングSMGのように質問を連射した。銃声がうるさいのか、誠司さんは頭を抱えている。



「すまない。頭がひどく痛い。吐き気もある。死にそうだ。脳溢血かもしれない。救急車を呼んでくれないか?」



人はそれを二日酔いという。二日酔いの症状はそういうものだ。頭が痛くて、吐き気がする。そしてそれは一日中続く。



それを知っているはずなのに、誠司さんはベッドの上でゴロゴロと転げまわっている。しかも上半身裸で。変人だ。それも大袈裟な変人。



あと、埃が舞うから止めてほしい。