「じゃあ、メルヘンチックな感情はそのままに、どこか奇っ怪に映る描写を増やします。」 妥協案だったが、誠司さんはそれすらも受け入れなかった。 「キャラクターから作り直せ。」 「……嫌です。」 「なら構想から全部練り直せ。」 「絶対嫌です!」 思わず席を立って、誠司さんを睨み付けた。誠司さんも誠司さんで負けじと睨み返してくる。 前を通りかかった編集者は「おお、またやってるぞ!」といった感じで、遠目に私たちのやりとりを見物していた。