「おい、カッシー! お前はどう思うんだよ?」
笹川さんが酔っぱらって誠司さんに絡む。肩まで組んじゃって、笹川。こいつはダメだ。
「どうって何が?」
「今の文学についてだよ! 若者の活字離れがどうの、薄毛がどうのって悩んでんだろ? お、そういえばうちの委員長が最近、ズラになってさあ……。」
ハイボールのトリプルが運ばれてきて、誠司さんはまるでカクテルを飲むかのように一口啜った。
「薄毛はどうか知らないが、いいじゃないか、活字離れ。それだけ今の文学が面白くないってことだよ。文字が読み書きできさえすれば、それでいいじゃないか。」
意外にも、出版業界の一線で働いている人の答えじゃなかった。というか、ただ酔っているだけかもしれないけど、独特な持論で、私はこういう考え、好きだ。



