それから私たちは、玄関先から一番遠い場所でキスをした。 「行ってきます。」「いってらっしゃい。」のキスを。 新婚夫婦の、ピュアで、下手くそなキス。 「こうやってあと何回キスできますかね?」 「どういう意味だ?」 「ほら、子供ができて、その子供が独立して、誠司さんがおじいちゃんになったらさすがにしないだろうなって。」 「なんだ? そんなにキスが好きなのか? じゃあ、もう一回……。」 「そうじゃなくって!」 私は誠司さんを突き放した。