「それで、連載の話は本当ですか?」
「ああ、本当だ。おめでとう……っていうのもなんだか、変だが……。」
確かに変だ。
ラブストーリー主体の月刊カミツレで、ラブストーリーでの連載が決まった途端これだ。
代償は大きいが、大きいだけに喜びも大きい。
「ねえ、誠司さん。」
すっかり落ち着きを取り戻した誠司さんは、備え付けのパイプ椅子に座って、「なんだ?」と優しく訊いた。
「私、考えたんですけど、この機会に花の名社と年間契約を結ぼうと思うんです。」
「事故った記念にか?」
うっせえよ!
「そうじゃなくて! 連載は決まりましたけど、そのせいで、大木りん=ラブストーリーだって方程式が他の出版社にも伝わると思うんです。そうなれば、仕事もきっと激減します。誠司さんの稼ぎを期待してないとか、そういうわけじゃないんですけど……。」
「けど、なんだ?」



