作業が三日目に達した頃、とうとう奴と遭遇してしまった。 「せ、せせせせせせ……。」 「なんだ? 洗濯機なら以前も見ただろ?」 「……誠司さん、せ、誠司さん!」 服の袖を引っ張って、誠司さんを奴の前に差し出した。 生贄。 「なんだ。ゴキブリじゃないか……って、そうか! ゴキブリ!」 誠司さんが振り返った時には、私は腰が抜けて立てなくなっていた。 奴は飛ぶ。茶色く濁った羽をバッサバッサ羽ばたかせて飛ぶ。 「ぐらへほばだぼべんば!!!」 なんと、私の額にピトッと奴は着地した。