しょうがないから、捨てるのも、質屋に持っていくのも勘弁してやった。
私はある作品で書いたことがある。
「浮気は男の甲斐性だ。」と。
これは、男というものは、金銭面では家庭を支えているのだから、多少の浮気くらいは大目に見てやろう。そういう意味だ。
しかし、私の方が稼ぎがいい以上、誠司さんにこの言葉は当てはまらない。
でも唯一、この言葉を誠司さんに無理矢理当てはめようとするなら、私が作家として食べていけるのは、誠司さんという誠実な担当編集者がいるからだ。
約束はしてくれたけど、あの人はこれからもキャバクラに通うだろう。
でも、そのたびに怒って、翌朝にはサイフォンでコーヒーを淹れてやる。
これがきっと夫婦が上手くいく秘訣だろうと思う。
私は、文字通り末永く誠司さんと一緒に生きていきたいのだ。



