異臭。
腐った牛乳と、チーズと、マヨネーズと、魚介類を混ぜ合わせた……
方がまだましだろうなと思うほどの悪臭。
10月号発売前のカミツレの編集部なんか比べ物にならないくらいの異臭が3重にしたマスク越しからも漂ってくる。
「ぐへへいっ!」
思わず鼻を押さえた。誠司さんも同じように鼻を押さえている。
「……我ながらよくぞまあこんなところに10年も住んでたなって思う。」
「よく今まで病気しませんでしたね……。」
「まあ、ほら、言うだろ? 『何とかは風邪ひかない。』って。」
何とかかあ……そうだな、うん。馬鹿だ。
こいつは本当に私がいないとダメな馬鹿だ。
大馬鹿者だ。
愛すべき大馬鹿者だ。



