「冗談よ。でも、お似合いだ思うわ、あなたたち。」



「そうですかね? 犬猿の仲って感じじゃないですか?」



「私ね、思うんだけど、犬猿の仲っていうのは、仲が悪いって意味じゃないと思うの。」



「じゃあ、どういう意味だって言うんですか?」



編集長はニヤリと笑った。



「ただ意見が合わないだけ。趣味も、味覚も、金銭感覚も、価値観そのものが合わないだけじゃないかって。でも、そういう人と付き合うと、楽しいでしょ? 自分の知らなかった世界を教えてくれるような、気づかせてくれるような感じで。新鮮味がするって言うのかしらね、こういうの。」



新鮮味がある=犬猿の仲……かあ。



「そうかもしれないですね。確かに意見が合わなくて衝突することだってこれからもあると思います。でも、そういう方が刺激的で、私たちらしくてなんかいいかもしれないですね!」



「そう思って結婚を決めたんでしょ?」



「そうでしたね。」