「作家にとって一番幸せなことは、自分の書きたいものを書いて、それが読者に認められることだと思うんです。
でも、好きだけじゃどうにもならないことがある。仕事っていうのは、楽しいだけじゃないって気づいたんです。
作家、デザイナー、整備士、スーパーの鮮魚コーナーの担当、事務員、パイロット……どの仕事も名前が違うだけで、仕事ということでは同じだって。
仕事はしんどいし、つらいし、逃げ出したくなることもあります。
でも、それは誰かのためなら頑張れる。家族や恋人……私にとっては読者がそれなんです。
読者が私の作品を読んで、
満員電車のストレスを吹き飛ばせる。
上司からの嫌みを笑い飛ばせる。
家事の合間を至福のひと時にできる。
6畳の部屋から外の世界へ飛び出してみようと勇気が出てくる。
それができるなら、どんなに素晴らしい仕事だろうって。
だから、私は読者の求めるものを書いていく。
それが恋愛小説なのか、サスペンスなのか。
すべては読者に委ねてみようかなって。
それが、恋愛小説だとしても、たとえサスペンスだとしても、
誰かを笑顔にできるなら、頑張ってみようかなってそう思ったんです。」



