藤原をタクシーに乗せ、私も通りでタクシーを拾い、家に帰ると、マンションの前で誠司さんが膝を抱えて座っていた。しまった!
「た、たっだいまあ~。」
「何がただいまだボケ!」
誠司さんに思いっきり怒鳴られた。
私は誠司さんに合鍵を渡すことを忘れていたのだ。
つまり、私が家にいないと、誠司さんは部屋に入れない。当たり前のことなのに、今の今まですっかり忘れてしまっていた。
「ど、どれくらい待ってたんですか?」
「4時間くらい。」
わあ、4時間……。
「って、そんな時間があるならコンビニで立ち読みするとか、自分のゴミ屋敷で待機するとか、私に連絡するとか、そういうことは考えなかったんですか!?」
「ああ、全然思いつかなかった……。」
まったく、この人は仕事以外は本当にダメダメで、一人で積み木の積めない人間なんだろうなと思った
「さあ、早く入ってください。」



