それから家で、おばさんに獲れたてのアジ料理を振る舞ってもらった。



刺身、から揚げ、塩焼き……。どれも新鮮で美味しかったのだが、中でも一番美味しかったのは、鯛めしだった。



「今朝、お隣からもらった鯛を鯛めしにしたんよ。」



といって、出された鯛めしを見て、驚いた。



「これが鯛めしですか?」



「そう。鯛めし。」



私の想像していた鯛めしは、鯛の身をごはんと一緒に炊いたものだったが、出された鯛めしは、ご飯の上に鯛の刺身と卵の黄身が乗っていて、醤油がかけられていた。



「宇和島ではこれを鯛めしと言うんよ。」



私はこの鯛めしの味にすっかり惚れ込んでしまった。東京でもこんな新鮮で美味しい鯛めしが食べられればいいのに。



「誠司さん、一緒に鯛めし屋でも開きませんか?」



「それもアリだな。」



きっと冗談で言ったんだと思うけれど、私はその冗談が嬉しかった。