朝食を終え、チェックアウトを済ませ、そこからまた電車移動。



特急宇和海。これで、終点の宇和島駅を目指す。



相変わらず愛媛の電車は立派で居心地がいい。四人掛けの向かい合わせに座り、私はミステリー小説を読み、誠司さんはアイマスクをして眠っていた。



窓外の景色に想いを馳せないところは、気が合うのかもしれない。



宇和島に着くと、誠司さんはレンタカーを借りた。



「ここからは車でしか行けないんだ。」



まったく、どこまで私を連れ回すのか。心配をする私を他所に、誠司さんは車を走らせる。



車中のBGMは、落語だった。物置きとして使っている貸し長屋を、他の人に借りられないように、幽霊が出るという嘘をつくという内容の、面白い落語だった。