新幹線で岡山駅までは大体4時間ほどかかる。
その間、私は駅弁を食べたり、読書をしたりしながら過ごした。こういう移動中は、必ずミステリー小説を読むようにしている。
これはある偉大な作家からの受け売りで、よくよく考えてみると、私はミーハーなのかもしれない。
対する誠司さんはというと、デッキでどこかに電話を掛け、帰ってきたかと思うと不機嫌で、腕組みをしながら貧乏ゆすりをしていた。
「どうしたんです?」
「編集長だよ。あの女に有休取ること伝えたら、『あら、りんちゃんとデートかしら? いいわね、納まるところに納まったじゃない。』だとよ。」
なんだこいつ。私とじゃ不満なのか?
「だから言ってやったんだ。『キリンをサバンナに帰すんです。』ってな。」
なんだこいつ。そこの窓が急に開いて、線路に落っこちて死ねばいいのに。



