自由席は意外にも空いていた。
二人掛けのD席、E席を楽々確保でき、私はE席に座った。
「空いてましたね。」
「ああ。多分この場合、指定席の方が混んでるんだ。よくあることだ。」
誠司さんってきっと出張も多いから、新幹線での移動も慣れているんだと思う。
私もよく使うけど、おそらく誠司さんほどじゃないんだろうなと思う。
「それにしても、電車は動き出しましたけど、なかなかおしぼり来ないですね……。それくらいよっぽど忙しいってことなんですかね? しかも、読書灯もないですよ? これ、本当にのぞみですか?」
「……お前、自由席に乗ったことないだろ?」



