美嶺と付き合って一ヶ月が経った。

初夏の風が頬をくすぐる。

通り過ぎる人々の中には半袖の人もいる。

そんなある日曜日の午前中。

「……」

鼓膜にドクドクといった音が響く。

大きすぎて、周りに聞こえているんじゃないかという程に。

血が逆流して、倒れてしまいそうだ。

どうして俺がこんなにドキドキしているのかと言えば……。

今日、俺が美嶺の家に行くから。

それは遡ること金曜日。

「なぁ、奏」

美嶺の一言から始まった。