「あ、遅刻する! 行くぞ、奏!」

「だから名前で呼ぶな!」

「いいのか遅刻しても!」

うっ、それは嫌だ……。

「分かったよ行けば良いんだろ! ったく……」

「いってらっしゃい。奏! 迷惑かけないようにねー!」

「かけねーよ!」

てかこっちが迷惑してんだ!

「いやー。奏と一緒に登校出来るなんて、夢みたいだなー」

「俺はいっそ夢であって欲しい……」

俺の横を歩くゲイ野郎のウキウキした表情とは打って変わって、俺はげんなりとした表情で、歩き慣れた道を歩く。

……それにしても。

(顔は、良いんだよなー)

ゲイ野郎、もとい美嶺 一糸(みね いっし)は、同じ学年の特進クラスに居る。

イケメンで、頭がいい、しかも運動も出来るらしいから、女達が放って置くはずもないと思うが……、