「美嶺!」

「……奏?」

俺は良輔と別れてから、美嶺のクラスへ行った。

あいつがいる保証はなかったが、今はそんなこと関係ない。

いたからいいだろ。

そんな自分の考え方に、やっぱ俺って、単純だな、なんて心の中で苦笑しながら、美嶺の元へ行く。

俺から美嶺の方へ行くのは、これが初めて。

美嶺も突然の俺の来訪に、心底驚いた様子だった。

「奏……、どうしたんだ?」

「返事、しに来た」

美嶺がまた驚く。

それを無視して、話し続けた。

「俺は……前にも言った通り、誰かと付き合ったことなんてない。だから、好きとかもよく分からない。けど……。」

だけど。

「お前といると、楽しい。良輔とか、ほかの仲いいヤツといる時も楽しいけど、お前の方が、なんか……安心できる、気が、する」

周りがザワザワしているが、気にしない。

気にしてる場合じゃない。

美嶺は、嶺涙を浮かべて、俺の言葉を黙って聞いている。

瞳が潤んでいて、とても綺麗だった。

「俺は……お前が、……好きだ!」

「……!」

俺の告白とほぼ同時に美嶺は、顔を覆って泣き出した。