「かーなで!」

「美嶺……!」

それから数日後。

美嶺は、毎日俺の所へ来る。

朝、一緒に登校しようと、俺の家へ来て。

昼、一緒に昼飯食おうと、俺のクラスへ来て。

放課後、一緒に帰ろうと、また俺のクラスへ来る。

毎日毎日こんな感じで……

「あぁもう! うっとおしいわ!」

……正直めんどくさい。

「お前、俺の返事を待つんじゃなかったのかよ!? 何でこんなに付きまとうんだ!?」

暇さえあれば俺の所へ来て!

まるでしっぽを振って主に従う忠犬のごとく、俺にべったりな美嶺。

「俺とお前が何て呼ばれてるか知ってるか!? 『ペットと飼い主』だぞ!?お前、それでいいのか!?」

「お前とセットにされるなんて……嬉しいよ!」

「そこじゃねーよ!」

もう何度も繰り返したこのやりとり。

周りから、「またやってるー」等と言った声と、クスクスという笑い声が聞こえてきて、正直恥ずかしい。

でも……、

「ダメ……か?」

「うぐっ……」

……こう言われると、俺は弱い。

ああ、あいつに耳としっぽが生えて、それが垂れ下がっているように見える俺は、もう深刻な病気じゃないのか……。

「……はぁ。分かったよ。帰ってやるから」