思いついた後悔も、誰に話そうなんて気にならない。それを思い返したところでつらいだけだ。自分からつらい気持ちになりたくなんてない。

 一行目の問いかけの答えは放棄して先を読み進める。今は自分のことよりも物語の展開に集中したい。

 
 その思考を最後に、僕の意識は物語の奥底に沈んでいった。

 ああ、この瞬間だ。僕が幸せを心から感じることができる瞬間。読書に耽っている今の時間がとても心地いい。

 誰からも干渉されることのない至福の時間だ。