信じなければ、その問題と向き合うことすらも始まらない。


 きっと僕は、はじめから考えることをやめていただけなんだ。ただ悩んでいるフリをしていただけで、実際に問題に立ち向かおうとしていなかった。僕の抱えている気持ちと対峙しないで、どちらからも逃げていた。

 
 そんな状態で正解が分からないなんて、僕には言う資格はない。


 「正解を求めてる奴らだって、間違えることはあるんだ。それでいいんだよ。間違うってのは若い奴らの特権だ。大人になってくにつれて、正しさのハードルはどんどん上がっていく。そうなっちまう前にいろんなことを経験しておくのが今のお前にとって大切なことだ」

 間違っても、いいんだ。


 ヨシさんの言葉は深く、深く心に刺さっていった。けれど痛みはなくて、優しく、僕の気持ちを和らげてくれた。


 初めて、自分の生き方を変えてみようと、思ったんだ。


 生き方を変えようと思ったのなら、僕が向き合うべき気持ちはもう決まっている。