「ぶはっ」

 思わず目を丸くした。真剣な表情で話を聞いていた柚木は、とても女子とは思えないような声で吹き出した。それから壊れたようにケラケラと笑い始めた。そんなに可笑しなことを言っただろうか。

 「あはははは!何言い出すかと思ったら、何じゃそれ!」

 教室の数人に視線を送られているのも気にせず、ひたすら気が済むまで彼女は笑った。その様子を見ていると、なんだか真面目に話した自分が馬鹿らしくなってきてしまった。

 「そんなこと考えて謝るのなんて倉木くんくらいだよ。どうせ君のことだから、自分だけは私に理想像を押しつけないようにしておこうなんて思ってたんでしょ?私はそんな気を遣ってもらいたいなんて思ってないし、そもそも君の思う私がどんな人かなんて知りもしない。それなのに急に自分の描いてた私を語って謝られても困るよ」

 僕を諭すような口調で、彼女はそう言った。言葉の通り困った表情を浮かべて、真っ直ぐに僕のほうを見た。