「それはよっぽど重傷だね。どう?私がその暇の埋め合わせでもしてあげようか?」

 ストローの先を小さく噛みながらニッコリと笑みを浮かべる。きっと天使のような微笑みを浮かべているつもりなんだろうけれど、僕には悪魔がほくそ笑んでいるようにしか見えなかった。

 「いや、柚木と喋っているとあまりに忙しくなりすぎるから、どうぞおかまいなく」

 「つれないなー。クラスで一番可愛いと言われている私に話しかけられて嫌悪感を示すなんて贅沢」

 「性格上の問題が大きい」

 柚木の言っている通り、彼女はクラスで最も可愛いらしい。僕には分からない。彼女のひねくれた性格を知っているせいだろうけど、そもそも僕はあまり好きという感情を知らないからかもしれないとも思った。