夏休みに入って間もなくの7月末、編入試験を受け9月初日から聖諒学園普通科に通っている。

母から音楽科に祖母の1番弟子がいると聞き、どんな演奏をするのかが気になっていた矢先の9月中旬、祖母が亡くなった。

忌引きで3日休み、気になっていた祖母の1番弟子周桜詩月のヴァイオリン演奏を聴けたことは、ラッキーだったと思う。

新学期早々1周目に、休み慣れした頭に容赦なく実力考査が実施され、成績発表がいつ貼り出されるのか、気が気でなかった。

登校すると、学生が職員室前の廊下で黒だかりになっている。

「何だよ、また周桜がダントツかよ」

「すごい。また首席記録更新」

周桜という名に学生を掻き分け、職員室の窓に貼り出された席次表を見上げ、息を飲んだ。

「彼が……!?」

「千住さん、あなたは転校してきたばかりで知らないでしょうけど、周桜くんは首席落ちしたことがないのよ」