空泥棒

今では、休みのとき、なにか嫌なことがあったとき、暇なとき、とにかく「撮りたい」と感じた時に、首から下げたお気に入りの一眼レフをもってどこかにいく。

どこか、はどこか。

あるときは自転車をこいで海に行き、またあるときは電車に乗って見知らぬ町へ。カメラを構えて、シャッターを押す、刹那。

その一瞬を、より良く残す為に撮る。

シャッターを押す瞬間。
わたしは「生きている」と実感することができるのだ。

とりあえず、わたしはいつも通り河川敷の下に降りた。そして透き通るとまでは言えない川の水を手ですくってから、カメラを持つ。